税効果会計に関する問題2(PL・BS)

問題

次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。なお、法人税等の実効税率は30%である。

目標タイム 5分

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【資料1】決算整理前残高試算表(単位:円)

決算整理前残高試算表(一部)

繰延税金資産4,500
その他有価証券17,000

【資料2】決算整理事項等

(1)期末時点における一時差異は次のとおりである。

前期末当期末
貸倒引当金
損金算入限度超過額
¥5,000¥3,000
減価償却費
償却限度超過額
¥10,000¥17,000
合計¥15,000¥20,000

(2)その他有価証券(いずれも当期に取得)の内訳は次のとおりである。なお、時価評価は全部純資産直入法によること。

取得原価期末時価
A社株式¥6,000¥9,000
B社株式¥11,000¥10,000

(3)法人税、住民税及び事業税として¥61,500を計上する。


【問1】次の損益計算書(単位:円)を完成させなさい。なお、法人税等調整額が貸方残高となる場合は金額の前に「△」を付すこと。

損益計算書(一部)

税引前当期純利益200,000
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
当期純利益

【問2】貸借対照表における繰延税金資産の金額を答えなさい。




解答

【問1】

損益計算書(一部)

税引前当期純利益200,000
法人税、住民税及び事業税61,500
法人税等調整額△1,50060,000
当期純利益140,000

【問2】

貸借対照表における繰延税金資産:¥5,400

解説

(1)損金不算入額(将来減差一時差異)

貸倒引当金繰入や減価償却費の一部が損金に算入することが認められない場合、課税所得(税金)が大きくなります。その分、当期に税金を前払いしたと考え、これを繰延税金資産として処理します。

損金不算入額が前期末残高よりも合計で¥5,000増えているので、この30%の¥1,500を繰延税金資産として追加で計上します。

借方金額貸方金額
繰延税金資産1,500法人税等調整額1,500

(当期末¥20,000ー前期末¥15,000)×30%=¥1,500

MEMO

一部の処理(その他有価証券の再振替など)を除いて、税効果に関する処理は期中に行わないため、繰延税金資産の前期末残高と決算整理前残高試算表の金額は一致します。

(2)その他有価証券の評価差額

A社株式

借方金額貸方金額
その他有価証券3,000繰延税金負債900
その他有価証券評価差額金2,100

繰延税金負債:評価差額(¥9,000ー¥6,000)×30%=¥900

B社株式

借方金額貸方金額
繰延税金資産300その他有価証券1,000
その他有価証券評価差額金700

繰延税金資産:評価差額(¥11,000ー¥10,000)×30%=¥300

繰延税金資産の金額

貸借対照表上では繰延税金資産と繰延税金負債は相殺消去されます。

・繰延税金資産:前T/B¥4,500+(1)¥1,500+(2)B株¥300=¥6,300
・繰延税金負債:(2)A株¥900

貸借対照表の繰延税金資産:¥6,300ー¥900=¥5,400