税効果会計に関する問題2(PL・BS)

問題

次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。なお、法人税等の実効税率は30%である。

【資料1】決算整理前残高試算表(一部)

【資料2】決算整理事項等

(1)期末時点における一時差異は次のとおりである。

前期末当期末
貸倒引当金損金算入限度超過額¥5,000¥3,000
減価償却費償却限度超過額¥10,000¥17,000
合計¥15,000¥20,000

(2)その他有価証券の内訳は次のとおりである。なお、時価評価は全部純資産直入法によること。

取得原価時価
A社株式¥6,000¥9,000
B社株式¥11,000¥10,000

(3)法人税、住民税及び事業税として¥61,500を計上する。


【問1】次の損益計算書(一部)を完成させなさい。なお、法人税等調整額が貸方残高となる場合は金額の前に「△」を付すこと。

【問2】貸借対照表における繰延税金資産の金額を答えなさい。




解答

【問1】

【問2】

貸借対照表における繰延税金資産:¥5,400

解説

(1)損金不算入額(将来減差一時差異)

貸倒引当金繰入や減価償却費の一部が損金に算入することが認められない場合、課税所得(税金)が大きくなります。その分、当期に税金を前払いしたと考え、これを繰延税金資産として処理します。

損金不算入額が前期末残高よりも合計で¥5,000増えているので、この30%の¥1,500を繰延税金資産として追加で計上します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰延税金資産 1,500 法人税等調整額 1,500

(当期末¥20,000ー前期末¥15,000)×30%=¥1,500

MEMO

一部の処理(その他有価証券の再振替など)を除いて、税効果に関する処理は期中に行わないため、繰延税金資産の前期末残高と決算整理前残高試算表の金額は一致します。

(2)その他有価証券の評価差額

A社株式

借方科目 金額 貸方科目 金額
その他有価証券 3,000 繰延税金負債 900
その他有価証券評価差額金 2,100

繰延税金負債:評価差額(¥9,000ー¥6,000)×30%=¥900

B社株式

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰延税金資産 300 その他有価証券 1,000
その他有価証券評価差額金 700

繰延税金資産:評価差額(¥11,000ー¥10,000)×30%=¥300

繰延税金資産の金額

貸借対照表上では繰延税金資産と繰延税金負債は相殺消去されます。

前T/B¥4,500+(1)¥1,500ー(2)A株¥900(繰延税金負債)+B株¥300=¥5,400

注意!

決算整理前残高試算表の金額を加算することを忘れないように注意しましょう。