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第6章-4:貸倒引当金の設定と貸し倒れ時の処理

会計のルールでは適正な期間損益計算という観点から収益とそれに起因する費用は同じ会計期間に計上し、両者を対応させないといけないことになっています。例えば当期に商品を掛けで販売し、この売掛金の一部が次期に貸し倒れることがわかっている場合、この売掛金は当期の収益(売上)に起因するものなので、貸し倒れによる損失も当期に見越計上しなければならないのです。

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貸倒引当金とは

売掛金、受取手形、貸付金などの債権が、倒産などによって回収不能になることを貸倒れといいます。

当期末における売掛金や受取手形などの債権が、あらかじめ次期に貸し倒れることが予測できる場合には、その見積額を当期の費用として計上しなければなりません。そして、この見積額を「貸倒引当金」(かしだおれひきあてきん)という勘定で処理します。


貸倒引当金設定時の仕訳方法


例題 ×1年度末、決算となり売掛金残高¥10,000に対して3%の貸倒引当金を設定する。なお、貸倒引当金の残高は¥100であり、差額補充法によって処理する。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒引当金繰入 200 貸倒引当金 200

face01 ¥10,000の3%だから¥300じゃないの?

しかし、貸倒引当金の残高が¥100あります。

ここで差額補充法とは、貸倒引当金の設定金額と残高の差額を貸倒引当金繰入勘定(費用)を使って繰り入れる方法のことをいいます。

つまり、設定金額が¥300(=¥10,000×3%)で貸倒引当金の残高が¥100なので、その差額の¥200を繰り入れる処理をします。

この結果、決算整理後における貸倒引当金の金額は設定金額の¥300となります。

この売掛金は実際にはまだ貸し倒れたわけではありませんので、直接減額せずに貸倒引当金という評価勘定を使って間接的に減額します。

ちなみに、貸倒引当金は売掛金や受取手形などの債権(資産)のマイナスを表す勘定科目なので貸方項目です。したがって、増加するときは貸方に、減少するときは借方に記入します。ただし、貸借対照表に表示する場合は資産(売掛金や受取手形など)のマイナス項目として借方に表示します。

face01 減価償却累計額の表示方法と同じだね。


貸し倒れ時の仕訳方法


例題 ×2年度に得意先が倒産し、同店に対する売掛金¥800が貸倒れとなった。なお、この売掛金のうち¥500は前期に取得したものであり、残りは当期に取得したものである。また、×1年度末の貸倒引当金は¥300であった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒引当金
貸倒損失
300
500
売掛金 800

この仕訳を、①前期に取得した売掛金(前期発生分)と②当期に取得した売掛金(当期発生分)の2つに分けて見ていきます。答えの仕訳は、以下の①と②の仕訳を合算したものとなります。

①前期発生分

前期に取得した売掛金が当期に貸倒れた場合には、まず「貸倒引当金」を取り崩します。そして、貸倒引当金を全額取り崩してもなお足りない分は、貸倒損失勘定(費用)で処理します。

前期(×1年度)末時点の貸倒引当金の金額は¥300ですので、この仕訳は次のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒引当金
貸倒損失
300
200
売掛金 500

本来であれば、売掛金¥500が貸倒れたわけですから損失は¥500となるはずです。しかし、前期末に貸倒引当金を設定したときに「貸倒引当金繰入」を前期の費用としてすでに処理しているので、当期の費用は「貸倒損失」の¥200で済んだわけです。

face01 それだけ当期の業績に与えるダメージが少なくなるってことだね。

はい、そういうことです。

②当期発生分

当期に取得した売掛金が当期に貸倒れた場合、貸倒れた金額の全額を「貸倒損失」として処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒損失 300 売掛金 300

face01 「貸倒引当金」を取り崩したらダメ?

「貸倒引当金」は前期末の売掛金残高に対して設定されたものであり、当期に取得した売掛金に対する貸倒引当金の設定は当期末の決算時に行われます。

つまり、当期に取得した売掛金に対しては、この段階ではまだ貸倒引当金が設定されていません(当期発生分の売掛金に対応する貸倒引当金はまだありません)。

したがって、当期発生分の売掛金が貸し倒れた場合には、「貸倒引当金」を取り崩すことはできないのです。

当期に貸倒れた債権 仕訳方法
前期以前に取得した売掛金・受取手形など ①貸倒引当金を取り崩す。
②貸倒引当金を超える部分は「貸倒損失」で処理。
当期に取得した売掛金・受取手形など 全額「貸倒損失」で処理。


償却債権取立益

前期以前に貸し倒れとして処理した債権を当期に回収した場合は、「償却債権取立益」(収益)で処理をします。

例題 前期に貸倒処理したA商店に対する売掛金¥100を当期において現金で回収した。

前期に貸倒処理したときに、すでに売掛金を減少させているので、当期において回収したときには売掛金を減少させないということに注意してください。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 100 償却債権取立益 100



ポイントチェック!

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1.貸倒引当金は、受取手形や売掛金の実質的な価値を表すため、これらの金額をマイナスする勘定である。
→減価償却累計額と同じく評価勘定なので、貸借対照表に表示する場合は当該資産のマイナス項目として借方に表示する。

2.受取手形や売掛金が貸し倒れたときの処理
①前期発生分→まず貸倒引当金勘定を取り崩し、超過分は貸倒損失勘定(費用)で処理。
②当期発生分→全額を貸倒損失勘定で処理

3.前期以前に貸し倒れとして処理した債権を当期に回収した場合は、「償却債権取立益」(収益)で処理。


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