いぬぼきアプリ登場!詳しくはこちら

【前払費用・前受収益とは?】費用の前払いと収益の前受け

【前払費用・前受収益とは?】費用の前払いと収益の前受け

SHIBUYA
SHIBUYA

さて問題です。1年分の保険料¥120を3月1日に前払いしたとします(決算日:3月31日)。このとき、当期の「保険料」(費用)の金額はいくらでしょうか?

ボキタロー
ボキタロー

¥120払ったんだから¥120でしょう。

SHIBUYA
SHIBUYA

それは違います。なぜなら、この保険料は3月1日から翌年の2月28日までの1年間に係るものだからです。

ボキタロー
ボキタロー

うん、だから?

SHIBUYA
SHIBUYA

期間別に見ると、当期はこの保険を1か月間(支払日3月1日~決算日3月31日)しか利用してません。にも関わらず、1年分の保険料をすべて当期だけの費用としていいのでしょうか?

ボキタロー
ボキタロー

ダメなの?じゃあどうやって処理しろっていうの?

SHIBUYA
SHIBUYA

はい。今回は将来の費用を前払いしたときや将来の収益を前受けしたときの処理について勉強しましょう。

費用の前払い~一連の処理方法~

それではまず、保険料の支払いを例にとって、費用の前払いに関する一連の処理方法を説明していきます。

保険料を支払った時の仕訳

例題1

×2年3月1日に向こう1年分の保険料¥120を現金で支払った。なお、当期は3月31日に終了する1年間である。

保険料(費用)が¥120増えて、現金(資産)が¥120減る。

損益計算書と貸借対照表
借方金額貸方金額
保険料
費用の増加
120
現金
資産の減少
120

【借方】
・保険料(費用)が¥120増える

【貸方】
・現金(資産)が¥120減る

SHIBUYA
SHIBUYA

この仕訳自体には問題ないと思いますが、取引には「”向こう”1年分の保険料」と書かれているので、費用の前払いをしたということになります。

決算整理仕訳

例題2

×2年3月31日、決算となり保険料について必要な処理を行う。

当期の費用となるのは支払った金額のうち当期に属する部分のみです。そこで決算において、当期に属さない部分を次期へ繰り延べるための処理を行います。この金額は月割で計算をします。

ここは注意

支払った金額がそのまますべて当期の費用になるわけではない点に注意しましょう。当期に利用した分だけが当期の費用となります。

支払額¥120は×2年3月1日~×3年2月28日の1年分ですが、そのうち当期に利用した1か月分だけが当期の費用(保険料)になり、残りの11か月分は当期の費用とはせずに次期へ繰り延べます

この繰り延べた費用(次期の保険料)は前払保険料勘定を使って処理します。前払保険料勘定は、将来サービスを受ける権利を表すので資産となります。

ここは重要

仕訳上は「前払保険料」「前払家賃」「前払利息」などの具体的な名称を使いますが、貸借対照表に表示する場合は、すべてまとめて「前払費用」とします。

ただし問題によっては、仕訳上の科目をそのまま使うケースもあります。必ず問題の指示に従ってください。

よって、保険料の繰り延べに関する決算整理仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
前払保険料
資産の増加
110
保険料
費用の減少
110
計算方法

支払額¥120 × 未経過分11か月/12か月

=¥110

この決算整理仕訳によって、当期分と次期分とに適切に期間配分されたことになるわけです。

翌期首の再振替仕訳

翌期首(×2年4月1日)には再振替仕訳を行います。

例題3

×2年4月1日、期首において再振替仕訳を行う。

借方金額貸方金額
保険料
費用の増加
110
前払保険料
資産の減少
110
SHIBUYA
SHIBUYA

再振替仕訳は前期末に行った決算整理仕訳の逆仕訳をすればいいだけです。

忘れた方はもう一度復習してください。

【貯蔵品の処理】再振替仕訳の意味とやり方を徹底解説 【貯蔵品の処理】再振替仕訳の意味とやり方を徹底解説

この再振替仕訳により、保険料¥110が×2年度の期首に計上されます。つまり、×2年度に属する11か月分の費用が×1年度から繰り延べられたわけです。

また、同時に前払保険料勘定の貸方に記入することにより、前期から資産として繰り越されてきた前払保険料の残高はゼロとなって消えます。

収益の前受け~一連の処理方法~

続いて収益の前受けについて説明していきますが、基本的な考え方は費用の前払いと同じなので、さらっと見ていくことにします。費用の前払いの一連の処理方法をしっかりと理解してから続きを読んでください。

利息を受け取ったときの仕訳(×1年7月1日)

例題4

×1年7月1日に向こう1年分の貸付金の利息¥360を現金で受け取った。なお、当期は3月31日に終了する1年間である。

現金(資産)と受取利息(収益)が¥360増える。

損益計算書と貸借対照表
借方金額貸方金額
現金
資産の増加
360
受取利息
収益の増加
360

【借方】
・現金(資産)が¥360増える

【貸方】
・受取利息(収益)が¥360増える

決算整理仕訳(×2年3月31日)

利息は時の経過によって発生するものと考えられるため、翌期分を当期に受け取った場合は繰り延べ処理が必要となります。

具体的には、利息を前受けしたときは当期に属さない部分を前受利息勘定を使って次期へ繰り延べます。前受利息勘定は、将来サービスを提供する義務を表すので負債となります。

ここは重要

仕訳上は「前受利息」「前受家賃」「前受地代」などの具体的な名称を使いますが、貸借対照表に表示する場合は、すべてまとめて「前受収益」とします(ただし問題によっては仕訳上の科目を使う場合もあります)。

ここは注意

受け取った金額がそのまますべて当期の収益になるわけではない点に注意しましょう。当期に利用した分だけが当期の収益となります。

よって、決算整理仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
受取利息
収益の減少
90
前受利息
負債の増加
90

繰り延べる金額は次期に属する3か月分(×2年4月1日~×2年6月30日)となります。

計算方法

受取額¥360 × 未経過分3か月/12か月

=¥90

決算整理仕訳によって収益(受取利息)が適切に期間配分されました。

再振替仕訳(×2年4月1日)

翌期首には再振替仕訳をします。前期末に行った決算整理仕訳の貸借逆の仕訳です。

借方金額貸方金額
前受利息
負債の減少
90
受取利息
収益の増加
90

再振替仕訳によって、×2年度に属する3か月分の「受取利息」が計上されるのと同時に「前受利息」がゼロとなって消えます。

まとめ

ボキタロー
ボキタロー

「前払費用」「前受収益」って、以前学習した「前払金」「前受金」と何が違うの?

SHIBUYA
SHIBUYA

ざっくり説明すると、継続して(期間をもって)提供するサービスに対して支払う対価については、前払費用・前受収益を使って期間配分する必要があるわけです。

ボキタロー
ボキタロー

当期に利用した分だけを、当期の費用・収益にするっていうことだね。

SHIBUYA
SHIBUYA

はい。それに対して、一時点で完結する取引は前払金・前受金を使う、というイメージでいいと思います。

ボキタロー
ボキタロー

ポイントは”継続して”っていうところなんだね。

まとめ

  • 決算において当期に支払った費用のうち、当期に属さない部分を次期へ繰り延べる処理を行う(費用の前払い)。
  • 費用を次期へ繰り延べる場合は前払費用(資産)の勘定を使って処理する。
  • 決算において当期に受け取った収益のうち、当期に属さない部分を次期へ繰り延べる処理を行う(収益の前受け)。
  • 収益を次期へ繰り延べる場合は前受収益(負債)の勘定を使って処理する。
  • 翌期首には再振替仕訳を行うということを忘れずに。

確認問題

1.次の資料にもとづいて、決算整理後残高試算表の①支払利息と②前払利息の金額として適切なものはどれか?なお、当社の決算日は3月31日である。

【決算整理前残高試算表の金額】

・支払利息:120円

【決算整理事項等】

支払利息は1月1日に1年分を前払いしたものである。

  1. ①支払利息90円、②前払利息30円
  2. ①支払利息30円、②前払利息90円
  3. ①支払利息90円、②前払利息90円
  4. ①支払利息30円、②前払利息30円

答え:b

仕訳は次のようになります。

借方科目金額貸方科目金額
前払利息90支払利息90

当期に支払った1年分の「支払利息」(費用)のうち、当期に帰属するのは1月1日(支払日)から3月31日(決算日)までの3か月分です。残りの9か月分は当期に帰属しない費用なので、これを当期の費用から差し引くために貸方に「支払利息」を記入します(費用のマイナス)。

また、借方は「前払利息」(資産)を使って「支払利息」を翌期に繰り延べます。なお、金額は次のように計算します。

120円×9か月/12か月=90円

よって、決算整理後残高試算表の支払利息は30円(=決算整理前120円ー90円)、前払利息は90円となります。

2.次の取引に関する仕訳において、①と②に入る組み合わせとして適切なものはどれか?

翌期首となり、1.の決算整理仕訳について再振替仕訳を行なった。

借方科目金額貸方科目金額
  1. ①支払利息、②前受利息
  2. ①前受利息、②支払利息
  3. ①支払利息、②前払利息
  4. ①前払利息、②支払利息

答え:c

仕訳は次のようになります。再振替仕訳は前期末の決算整理仕訳の貸借逆仕訳となります。

借方科目金額貸方科目金額
①支払利息90②前払利息90

これにより、9か月分の「支払利息」(費用)が期首に計上されます(翌期へ繰り延べられたことになります)。

前期末には決算整理仕訳によって、帳簿上の金額を財務諸表作成のための金額(期間帰属を考慮した金額)に修正しています。そこで、再振替仕訳によって帳簿上の金額を再び決算整理前の状態に戻してやります。これによって、前期と同じ処理(帳簿の記入)が可能となり処理の一貫性が保てます。

3.次の資料にもとづいて、決算整理後残高試算表の①受取利息と②前受利息の金額として適切なものはどれか?なお、当社の決算日は3月31日である。

【決算整理前残高試算表の金額】

・受取利息:120円

【決算整理事項等】

受取利息は2月1日に1年分を前受けしたものである。

  1. ①受取利息20円、②前受利息100円
  2. ①受取利息100円、②前受利息20円
  3. ①受取利息120円、②前受利息120円
  4. ①受取利息120円、②前受利息100円

答え:a

仕訳は次のようになります。

借方科目金額貸方科目金額
受取利息100前受利息100

当期に受け取った1年分の「受取利息」(収益)のうち、当期に帰属するのは2月1日(受取日)から3月31日(決算日)までの2か月分です。残りの10か月分は当期に帰属しない収益なので、これを当期の収益から差し引くために借方に「受取利息」を記入します(収益のマイナス)。

また、貸方は「前受利息」(負債)を使って「受取利息」を翌期に繰り延べます。なお、金額は次のように計算します。

120円×10か月/12か月=100円

よって、決算整理後残高試算表の受取利息は20円(=決算整理前120円ー100円)、前受利息は100円となります。

翌期首の再振替仕訳は次のとおりです。

借方科目金額貸方科目金額
前受利息100受取利息100

これにより、10か月分の「受取利息」(収益)が期首に計上されます(翌期へ繰り延べられたことになります)。