親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本は、相殺消去しなければなりません。これを資本連結といいます。ここでは資本連結のもっとも単純なケースについてみていきます。
資本連結の基礎知識
資本連結とは?

親会社は子会社の株式を取得して支配権を獲得しますが、このとき個別ベースでみれば、親会社側では資産である「子会社株式」が増加し、子会社側では株式の発行により「資本金」等が増加します。

しかし親会社と子会社を1つの組織体とみなす連結ベースで見ると、単に現金の保管場所が変わったにすぎません。
そこで、連結修正仕訳において親会社の投資(子会社株式)と子会社の資本(資本金等)を相殺消去します。これを資本連結(投資と資本の相殺消去)といいます。

たしかに。現金の保管場所が変わっただけで、子会社株式や資本金が増えるのはおかしいよね。
連結修正仕訳のやり方
連結修正仕訳のやり方は通常の修正仕訳とほぼ同じです。
- 親会社および子会社が実際に行った仕訳(個別会計上の処理)を考える。
- 連結ベースでのあるべき仕訳(連結会計上あるべき処理)を考える。
- ①の仕訳を合算し、②の仕訳になるように修正する。
資本連結の基本的な例題
それでは簡単な例題を使って連結修正仕訳を考えてみましょう。
S社は会社設立に際し、S社株式100株を@¥10で発行し(すべて資本金として処理)、そのすべてをP社が現金で取得した。
先ほど説明した順序で考えていきます。
①個別上の処理
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| S社株式 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000 | 資本金 | 1,000 |
②連結会計上あるべき処理
連結ベースでみると、単に現金の保管場所が変わっただけなので(S社株式も資本金も増えていないので)「仕訳なし」ということになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕訳なし |
③連結修正仕訳
①の仕訳を合算し、②の仕訳(仕訳なし)になるように修正します。具体的にはS社株式と資本金を貸借逆に記入し、これらを消去してやります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| S社株式 | 1,000 | 資本金 | 1,000 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 1,000 | S社株式 | 1,000 |

「S社株式」は「子会社株式」などを使って処理する場合もあります。試験では問題の指示に従ってください。
支配獲得日の連結(完全所有のケース)
資本連結の基本的なやり方を学んだところで、次は支配獲得日の連結についてみていきましょう。まずは、親会社が子会社の株式を100%所有しているケース(完全所有のケース)についてみていきます。
ある会社が他の会社の議決権の過半数を取得するなどして、他の会社に対する支配を獲得した日を支配獲得日といいます。
支配獲得日には、親会社は次のような手順で連結貸借対照表を作成します。

親会社と子会社の貸借対照表を合算します。これは単純な足し算なので問題ないでしょう。

先ほど説明したように、親会社の投資と子会社の資本を相殺消去します。

STEP.2で行った投資と資本の相殺消去に関する連結修正仕訳の結果を加味して、連結貸借対照表を作成します。
P社は×1年3月31日にS社の発行済株式のすべてを¥10,000で取得し、支配した。連結修正仕訳を示すとともに、連結貸借対照表を作成しなさい。
【資料】×1年3月31日におけるP社とS社の貸借対照表(単位:円)

連結修正仕訳
連結修正仕訳(投資と資本の相殺消去)についてはすでに説明した通りです。親会社の投資(S社株式)と子会社の資本(資本金および利益剰余金)を相殺消去します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 8,000 | S社株式 | 10,000 |
| 利益剰余金 | 2,000 |
連結貸借対照表
連結貸借対照表はP社とS社の個別貸借対照表を合算し、上の連結修正仕訳を加味して作成します。

支配獲得日の連結(部分所有のケース)
続いて、親会社が子会社の株式を100%所有していないケース(部分所有のケース)について説明していきます。部分所有のケースでは、親会社以外の株主(非支配株主)が存在することに注意してください。
P社は×1年3月31日にS社の発行済株式の60%を¥6,000で取得し、支配した。連結修正仕訳を示すとともに、連結貸借対照表を作成しなさい。
【資料】×1年3月31日におけるP社とS社の貸借対照表(単位:円)


部分所有のケースでは親会社以外の株主(非支配株主)も子会社に投資しているわけですから、親会社の投資と相殺消去すべき子会社の資本は親会社の持分割合で計算した金額のみとなります。
それ以外の部分は親会社の持分(株主資本)とはならないので、これと区別するために非支配株主持分に振り替えます。
連結修正仕訳
①親会社持分の相殺消去
S社の純資産のうち、親会社持分(60%)に相当する金額は親会社の投資と相殺消去します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 4,800 | S社株式 | 6,000 |
| 利益剰余金 | 1,200 |
・資本金:S社の資本金¥8,000×60%=¥4,800
・利益剰余金:S社の利益剰余金¥2,000×60%=¥1,200
②非支配株主持分への振替
S社の純資産のうち、非支配株主持分(40%)に相当する金額は「非支配株主持分」へ振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 3,200 | 非支配株主持分 | 4,000 |
| 利益剰余金 | 800 |
・資本金:S社の資本金¥8,000×40%=¥3,200
・利益剰余金:S社の利益剰余金¥2,000×40%=¥800
③連結修正仕訳
①と②を合算したものが連結修正仕訳となります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 8,000 | S社株式 | 6,000 |
| 利益剰余金 | 2,000 | 非支配株主持分 | 4,000 |

もっと簡単に言うと、S社株式と子会社の純資産をすべて消去して、子会社の純資産の40%を「非支配株主持分」とすればいいだけです。
連結貸借対照表

「非支配株主持分」は連結貸借対照表の純資産の部に表示します。
2級仕訳問題集part.7のQ.7-01~Q.7-02を解きましょう!

