仕訳問題集3(有価証券)




Q.3-01売買目的でA社株式10株を1株@100円で購入し、代金は売買手数料100円とともに現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売買目的有価証券1,100現金1,100

【ヒント】

①「売買目的で」購入したとあるので、これを売買目的有価証券で処理します。

②金額は「10株×@¥100+手数料¥100=¥1,100」

有価証券の購入に伴う付随費用は取得原価に含めます


Q.3-02100円の株式配当金領収証が送付された。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
現金100受取配当金100

【ヒント】

①配当金は株式配当金領収証を金融機関に持っていって換金してもらうことで受け取れるので、これを受取配当金で処理します。

②株式配当金領収証は3級で学習した通貨代用証券なので、借方は現金とします。


Q.3-03売買目的で保有している有価証券(帳簿価額1,100円)を900円で売却し、代金は当座預金口座に振り込まれた。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
当座預金900売買目的有価証券1,100
有価証券売却損200

【ヒント】

有価証券の帳簿価額(簿価)が売却額を上回る場合は、その差額を有価証券売却損で処理します。


Q.3-04売買目的で保有している有価証券(帳簿価額1,100円)を1,300円で売却し、売買手数料100円が差し引かれた残額を当座預金とした。なお、売買手数料は支払手数料勘定で処理する。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
当座預金1,200売買目的有価証券1,100
支払手数料100有価証券売却益200

【ヒント】

①有価証券の帳簿価額(簿価)が売却額を下回る場合は、その差額を有価証券売却益で処理します。

②当座預金の金額(手取額)は、売却額の1,300円から支払手数料100円を差し引いた1,200円となります。


Q.3-05売買目的で保有している有価証券(帳簿価額1,100円)を1,300円で売却し、売買手数料100円が差し引かれた残額を当座預金とした。なお、売買手数料は売却損益に含めて処理する。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
当座預金1,200売買目的有価証券1,100
有価証券売却益100

【ヒント】

売却時の手数料は、支払手数料で処理する方法のほかに売却損益に含めて処理する方法もあります。手数料を売却損益に含める場合は、有価証券売却損に加算、または有価証券売却益から減額します。

有価証券売却損益は差額で求めてもOKです。


Q.3-06決算につき、売買目的で保有しているB社株式(帳簿価額3,000円)を期末時価2,500円に評価替えする。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
有価証券評価損500売買目的有価証券500

【ヒント】

①決算時の時価が簿価を下回っている場合には、貸方に売買目的有価証券を記入して簿価を時価まで減額します。

②簿価の切り下げ額は有価証券評価損として処理します。

売買目的有価証券は決算時の時価で評価し、評価差額は当期の損益とします。


Q.3-07決算につき、売買目的で保有しているB社株式(帳簿価額3,000円)を期末時価3,500円に評価替えする。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売買目的有価証券500有価証券評価益500

【ヒント】

①決算時の時価が簿価を上回っている場合には、借方に売買目的有価証券を記入して簿価を時価まで増やします。

②簿価の切り上げ額は有価証券評価益として処理します。


Q.3-08×1年4月1日に満期保有目的で、A社社債(額面総額:10,000円、利率:年2.0%、利払日:9月末と3月末の年2回)を9,500円で購入し、代金は証券会社への手数料100円とともに現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
満期保有目的債券9,600現金9,600

【ヒント】

「満期保有で」とあるので、満期保有目的債券で処理をします。また、購入に係る付随費用(証券会社への手数料)は取得原価に含めます。


Q.3-09×1年9月30日、Q.3-08のA社社債の利息を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
現金100有価証券利息100

【ヒント】

保有している債券(社債や国債)の利息を受け取ったときは有価証券利息で処理をします。金額は「額面¥10,000×利率1.0%(半年分)=¥100」です。

もちろん「額面¥10,000×年利率2.0%×6か月/12か月」で計算しても構いません。


Q.3-10支配目的で、B社株式を20,000円で購入し、代金は現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
子会社株式20,000現金20,000

【ヒント】

「支配目的で」とあるので、子会社株式で処理をします。


Q.3-11影響力を行使する目的で、C社株式を15,000円で購入し、代金は現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
関連会社株式15,000現金15,000

【ヒント】

「影響力を行使する目的で」とあるので、関連会社株式で処理をします。


Q.3-12決算日現在、Q.3-10のB社株式の期末時価は24,000円、Q.3-11のC社株式の期末時価は12,000円であった。なお、仕訳の必要がない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕訳なし

【ヒント】

子会社株式および関連会社株式は原則として時価評価を行わず取得原価で評価します。よって評価差額は生じないので、決算時の処理は「仕訳なし」ということになります。


Q.3-13×1年4月1日に、満期保有目的でA社社債97,000円(額面総額:100,000円、満期日:×4年3月31日、券面利子率:年1%、利払日:3月末の年1回)を現金で取得した。なお、取得原価と額面金額との差額はすべて金利の調整部分であると認められる。また、当社の会計期間は3月末を決算日とする1年間である。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
満期保有目的債券97,000現金97,000

【ヒント】

「満期保有目的で」とあるので、満期保有目的債券で処理をします。


Q.3-14×2年3月31日、Q.3-13のA社社債の利息を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
現金1,000有価証券利息1,000

【ヒント】

社債の利息を受け取ったときは「有価証券利息」で処理をします。金額は「額面¥100,000×年利率1%=¥1,000」です。

額面利子の受け取りは期中の仕訳となります(したがって前T/Bに反映されます)。


Q.3-15×2年3月31日、決算となりQ.3-13の満期保有目的債券について償却原価法(定額法)を適用する。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
満期保有目的債券1,000有価証券利息1,000

【ヒント】

①償却原価法(定額法)では、額面金額¥100,000と取得原価¥97,000との差額¥3,000を取得日から満期日までの期間(3年)にわたって月割で償却額を計算します。

¥3,000÷3年×1年(当期の保有期間)=¥1,000

②償却額は有価証券利息として計上するとともに、満期保有目的債券の金額に加算します。

償却原価法(定額法)の処理は決算時の仕訳となります(したがって前T/Bには反映されていません)。


Q.3-16業務提携を目的としてX社株式を2,000円で、また長期利殖を目的としてY社株式を1,500円で購入し、代金は現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
その他有価証券3,500現金3,500

【ヒント】

売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも該当しないような有価証券は「その他有価証券」で処理をします。

「長期利殖目的」とは、売買目的有価証券のようにすぐに売却することは予定しておらず、また満期保有目的債券のように満期まで保有することも予定していない場合をいいます。


Q.3-17当社は甲社株式(取得原価5,000円)をその他有価証券として保有しているが、決算における期末時価は5,500円であった。その他有価証券の評価は全部純資産直入法による。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
その他有価証券500その他有価証券評価差額金500

【ヒント】

①その他有価証券の簿価を時価まで切り上げるため、借方にその他有価証券を記入します。

②相手勘定をその他有価証券評価差額金とします。

その他有価証券は決算時の時価で評価し、評価差額は「その他有価証券評価差額金」として純資産に計上します。


Q.3-18期首となり、Q.3-17のその他有価証券について洗い替えを行う。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
その他有価証券評価差額金500その他有価証券500

【ヒント】

その他有価証券は翌期首において、時価評価の逆仕訳を行なって取得原価に振り戻します。


Q.3-19Q.3-17のその他有価証券を6,000円で売却し、代金は現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
現金6,000その他有価証券5,000
投資有価証券売却益1,000

【ヒント】

その他有価証券を売却した場合は、取得原価と売却額との差額を「投資有価証券売却損」または「投資有価証券売却益」とします。

時価評価したQ.3-17のその他有価証券は、Q.3-18において取得原価に振り戻されているということに注意してください。


Q.3-20当社は乙社株式(取得原価5,000円)をその他有価証券として保有しているが、決算における期末時価は4,700円であった。その他有価証券の評価は全部純資産直入法による。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
その他有価証券評価差額金300その他有価証券300

【ヒント】

①その他有価証券の簿価を時価まで切り下げるため、貸方にその他有価証券を記入します。

②相手勘定をその他有価証券評価差額金とします(この場合、純資産のマイナスとなります)。


Q.3-21A社から短期売買目的で社債を5,000円で買い入れ、代金は端数利息200円とともに小切手を振り出して支払った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売買目的有価証券5,000当座預金5,200
有価証券利息200

【ヒント】

①「短期売買目的で」とあるので、取得原価は売買目的有価証券で処理します。

②直前の利払日の翌日から社債の購入日までの期間に係る利息はA社が受け取るべき利息なので、社債購入時にこの利息をA社に支払うことで調整します。このような利息を端数利息といいます。

③端数利息を支払ったときは、有価証券利息(のマイナス)として処理します。


Q.3-22B社にQ.3-21の社債を4,000円で売却し、代金は端数利息300円とともに現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
現金4,300売買目的有価証券5,000
有価証券売却損1,000有価証券利息300

【ヒント】

①直前の利払日の翌日から社債の売却日までの期間に係る利息は当社が受け取るべき利息なので、社債売却時にこの利息をB社から受け取ることで調整します。

②端数利息を受け取ったときは、有価証券利息として処理します。

③売却額¥4,000と社債の簿価¥5,000との差額が有価証券売却損となります。