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売上原価の計算・仕訳・勘定記入のやり方

売上原価の計算・仕訳・勘定記入のやり方

SHIBUYA
SHIBUYA

この第6章は決算に関するお話しをしていく予定です。基本的なことは入門で説明済みですので、忘れた方はこちらを参考にしてください。

決算とは?会計期間とは?期首~期末までの流れ 7.決算とは?会計期間とは?期首~期末までの流れ

ボキタロー
ボキタロー

でもさぁ、これまでも決算の処理って出てこなかった?

SHIBUYA
SHIBUYA

はい、出てきました。学習の流れ上、決算整理事項の一部についてはすでに説明しています。

これまでに学習した決算整理事項

【現金過不足とは】期中の仕訳から決算時の処理まで 【現金過不足とは】期中の仕訳から決算の処理まで

当座借越と複数口座を開設している場合の管理 当座借越と複数口座を開設している場合の管理

【減価償却とは?】定額法による減価償却費の計算方法 【減価償却とは?】定額法による減価償却費の計算方法

ボキタロー
ボキタロー

じゃあこの章では、これ以外の決算整理について勉強するんだね。

SHIBUYA
SHIBUYA

そのとおりです。まず初めに売上原価の計算・処理方法から見ていきましょう。

売上原価の計算方法

売上原価とは

売上原価(うりあげげんか)とは外部に販売した商品の原価のことをいいます。

ここで簡単な頭の体操をしましょう。

期首(前期繰越)
期首商品棚卸高

期首に倉庫の中には商品が2個あったとします。ちなみに、期首に倉庫や店頭に残っていた商品の原価を期首商品棚卸高(きしゅしょうひんたなおろしだか)といいます。これは前期からの商品の繰越額を意味します。

期中(仕入・受入)
当期商品仕入高

当期に商品を3個仕入れました。なお、当期に仕入れた商品の原価を当期商品仕入高(とうきしょうひんしいれだか)といい、これは決算整理前残高試算表の仕入勘定の金額を意味します。

期中(販売・払出)
売上原価

当期に商品をいくつか販売して払い出しました。この販売した商品の原価のことを売上原価といいます。

期末(次期繰越)
期末商品棚卸高

期末には倉庫に商品が1個残っていました。期末に倉庫や店頭に残っている商品の原価を期末商品棚卸高(きまつしょうひんたなおろしだか)といい、次期へ繰り越される商品の金額を意味します。

さて、当期に払い出した商品は何個でしょうか?

もうおわかりですね?

そう、正解は4個です。この4個という数字は次のように計算したと思います。

期首商品2個+当期仕入3個ー期末商品1個
=払い出した商品4個

売上原価の計算方法は、今まさにあなたが頭の中で行った計算なのです。

売上原価の計算方法

期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

SHIBUYA
SHIBUYA

このように売上原価は差額で計算するんです。

なお、商品の繰越額(期首商品棚卸高・期末商品棚卸高)は、三分法では繰越商品(くりこししょうひん)勘定で処理をします。

売上原価の計算方法を理解したところで、次は具体的な仕訳についてみていきましょう。

売上原価の仕訳と勘定記入1【仕入勘定を使う方法】

例題1

期首商品棚卸高が¥200、当期商品仕入高が¥900、期末商品棚卸高が¥150のとき、売上原価を計算するための仕訳を示しなさい。なお、売上原価は仕入勘定で計算する。

この例題の仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
仕入
費用の増加
200
繰越商品
資産の減少
200
繰越商品
資産の増加
150
仕入
費用の減少
150
【参考】ここはさらっと読もう

商品を仕入れてもいないのに、なぜ「仕入」が増えたり減ったりするのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、この仕訳は単なる技術的なものにすぎないので気にする必要はりません。仕入勘定の借方には当期商品仕入高がすでに集計されているので、これを使って計算したほうが手っ取り早いし効率的ということです。

ここは注意

決算整理仕訳は、勘定残高を適正な財務諸表の金額に直すための修正仕訳です。具体的な取引にもとづいて行われる期中の仕訳とは頭を切り替えて考えてください。

それでは、なぜこの仕訳で売上原価を計算できるのかについて説明していきます。分かりやすいように、上の仕訳を2つに分けて見ていきましょう。

①期首商品棚卸高の振替

まず1段目の仕訳ですが、これは期首商品棚卸高の振替えを表しています。

借方金額貸方金額
仕入
費用の増加
200
繰越商品
資産の減少
200

決算整理前残高試算表の繰越商品勘定の金額は前期からの繰越額、すなわち期首商品棚卸高を表しています。これをすべて仕入勘定の借方に振り替えて一旦ゼロにしてやります。

SHIBUYA
SHIBUYA

要するに、期首商品は当期にすべて販売したと仮定するわけですね。

ここは重要

三分法では繰越商品勘定の金額は期中において変動しないので、期首商品の金額がそのまま決算整理前残高試算表の金額となります。

②期末商品棚卸高の記入

続いて2段目の仕訳です。

借方金額貸方金額
繰越商品
資産の増加
150
仕入
費用の減少
150

期末商品棚卸高を繰越商品勘定の借方に記入することにより、この金額が次期に繰り越されます。決算整理前の繰越商品勘定の金額(期首商品棚卸高)をいったんゼロにしてから、新たに期末商品棚卸高の金額を入れてやるというイメージです。

さらに、売上原価を計算するために仕入勘定の貸方に期末商品棚卸高の金額を記入します。ここで決算整理後の仕入勘定を見ると、売上原価を計算するための式が成り立っていることがお分かりになると思います。

計算方法

期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

=¥200+¥900ー¥150

¥950(売上原価)

決算整理仕訳の結果、決算整理後の繰越商品勘定は期末商品棚卸高を、仕入勘定は売上原価を表しているということになるわけです。

売上原価の仕訳と勘定記入2【売上原価勘定を使う方法】

売上原価を計算する方法には仕入勘定で計算する方法のほかに、売上原価勘定を新たに設けてそこで計算する方法もあります。

例題2

期首商品棚卸高が¥200、当期商品仕入高が¥900、期末商品棚卸高が¥150のとき、売上原価を計算するための仕訳を示しなさい。なお、売上原価は売上原価勘定で計算する。

売上原価勘定を使う方法では、期首商品棚卸高、当期商品仕入高、期末商品棚卸高をいったんすべて売上原価勘定に集め、そこで売上原価を計算します。

借方金額貸方金額
売上原価200繰越商品200
売上原価900仕入900
繰越商品150売上原価150

まず、期首商品棚卸高と当期商品仕入高を売上原価勘定の借方へ振り替えます。そして次に、期末商品棚卸高を売上原価勘定の貸方へ振り替えます。

当期商品仕入高を仕入勘定から売上原価勘定へ振り替えるということ以外は、仕入勘定を使う方法と同じです。売上原価勘定において売上原価の算定式が成立していることを確認してください。

まとめ

SHIBUYA
SHIBUYA

ところで、仕訳を丸暗記しようとする人がよくいます。

ボキタロー
ボキタロー

うん、僕もしようと思った。丸暗記ダメ?

SHIBUYA
SHIBUYA

暗記を否定することはしません。試験に合格するためには必要な場合もあります。しかし仕訳の意味を理解しないままでの丸暗記はおすすめできません。

ボキタロー
ボキタロー

たしかに。たとえ試験に合格できたとしても本当の意味で簿記を勉強したとは言えないね。

SHIBUYA
SHIBUYA

その通りです。丸暗記だと、試験でちょっとひねられた問題を出題されると答えられないですし、そのような知識は実務においても通用しません。暗記するのであれば、せめて意味が分かったうえで覚えてほしいと思います。

まとめ

  • 売上原価の計算式:期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
  • 決算整理仕訳(仕入勘定を使う方法)の覚え方は「しいれ・くりしょう、くりしょう・しいれ」
  • 仕訳を暗記しても構いませんが、「なぜこの仕訳で売上原価が算定できるのか」という理屈もぜひ理解してください

確認問題

1.次の取引に関する仕訳において、①と②に入る組み合わせとして適切なものはどれか?

期首商品棚卸高が100円、当期商品仕入高が600円、期末商品棚卸高が200円のとき、売上原価を計算するための仕訳を示しなさい。なお、売上原価は仕入勘定で計算する。

借方金額貸方金額
仕入繰越商品
繰越商品仕入
  1. ①100、②600
  2. ①100、②200
  3. ①200、②100
  4. ①200、②600

答え:b

仕訳は次のようになります。いわゆる「しい・くり・くり・しい」の仕訳です。

借方金額貸方金額
仕入①100繰越商品100
繰越商品②200仕入200

まず、期首商品棚卸高100円を「繰越商品」(資産)から「仕入」(費用)に振り替えます。次に、期末商品棚卸高200円を「仕入」から「繰越商品」に振り替えます。なお、売上原価は次のように算定します。

期首商品棚卸高100円+当期商品仕入高600円ー期末商品棚卸高200円=売上原価500円

2.次の取引に関する仕訳において、①と②に入る組み合わせとして適切なものはどれか?

期首商品棚卸高が100円、当期商品仕入高が600円、期末商品棚卸高が200円のとき、売上原価を計算するための仕訳を示しなさい。なお、売上原価は売上原価勘定で計算する。

借方金額貸方金額
売上原価繰越商品
繰越商品売上原価
  1. ①繰越商品、②100
  2. ①仕入、②600
  3. ①売上原価、②600
  4. ①繰越商品、②200

答え:c

仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
売上原価100繰越商品100
①売上原価②600仕入600
繰越商品200売上原価200

まず、期首商品棚卸高100円を「繰越商品」(資産)から「売上原価」(費用)に振り替えます。次に、当期商品仕入高600円を「仕入」から「売上原価」へ振り替えます。最後に、期末商品棚卸高200円を「売上原価」から「繰越商品」に振り替えます。なお、売上原価は次のように算定します。

3.次の資料にもとづいて、決算整理後残高試算表における①繰越商品と②仕入の金額として適切なものはどれか?

【決算整理前残高試算表の金額】

・繰越商品:300円

・仕入:1,000円

【決算整理事項等】

期末商品棚卸高は100円であった。

  1. ①繰越商品300円、②仕入1,000円
  2. ①繰越商品100円、②仕入1,000円
  3. ①繰越商品300円、②仕入1,200円
  4. ①繰越商品100円、②仕入1,200円

答え:d

仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
仕入300繰越商品300
繰越商品100仕入100

期首商品棚卸高300円+当期商品仕入高1,000円ー期末商品棚卸高100円
売上原価1,200円(決算整理後残高試算表の「仕入」)

【決算整理前残高試算表における金額の意味】
「繰越商品」→期首商品棚卸高
「仕入」→当期商品仕入高

【決算整理後残高試算表における金額の意味】
「繰越商品」→期末商品棚卸高
「仕入」→売上原価